校長から生徒の皆さんへ!「挑戦する読書」ー第7回ー

    挑戦する読書第7回も前回に続いて伝記です。明治初期,荻野吟子(おぎのぎんこ)という日本初の女医となった人物の物語です。

 渡辺 淳一『 花埋み(はなうづみ)』 集英社文庫

 明治維新まもない頃,農家に嫁いだ「ぎん(本名)」は病を得て離縁され,実家に戻ります。その病がもとで女医になろうと決意します。当時,女性は医学の世界に入門さえできませんでした。学問を志すことは難しく,医者は男性の仕事とされていたのです。その状況をいかにして乗り越え,日本初の女医が誕生したのか・・・
 
 古川女子高校看護科の歴史を受け継ぐ本校にあって,看護系の大学・専門学校に進学する生徒は今年も多いと思います。その生徒たちには是非一読をお勧めします。進路先が医療看護系でなくとも,女性に対する偏見との闘いに打ち克ち,明治18年,35歳にして念願の政府公認の医者として,産婦人科を開業した信念のひと,荻野ぎん63年の一生を読んで欲しいと思います。作家,渡辺淳一の名作です。                                                         令和2年6月12日
                           校長 小川 典昭